知的生活のあしあと

5千冊を読んできた管理人の日々の知的生活の「あしあと」。読書感想やお薦め本、良質な記事や動画を紹介します。

【おすすめ本】5054冊目「いよいよ、日本の時代がやって来た!」日下公人 書評・感想

私淑する日下公人氏の本です。   2015/8/3読了(累計5054冊目)  

書名:いよいよ、日本の時代がやって来た! 著者:日下 公人 版元:ワック 発刊:2014/12/22

本書の構成は以下の通りです。

第1章 いま、世界は静か 第2章 いま、日本が直面する問題 第3章 満つれば欠けるは世の習い 第4章 金銀溢れいづる日本 第5章 世界が日本化する エピローグ 日本の時代がやって来る

 

ポイント1 いま世界は静か

●「いま世界は静かである」と主張してきたが、この静けさが終わったら突然、「日本の時代」がやってくるだろう。

日々いろいろな事件があり、緊張感があるようにも見えていましたが、世の中を数十年見続けてきた日下氏にかかれば、いまは「静か」なのだということです。確かに中国も、アメリカの覇権に正面からの「挑戦」まではしていませんね。せいぜいアジアの近海でアメリカの様子を見ながら、悪さをしている程度です。そしてその後は、やはり日本の時代だと喝破します。こうしたマクロな目は、日下氏のお得意なところですね。

 

ポイント2 中国とはつきあうな

●中国に対して、日本は付き合わないのが一番いい。日本が資金や技術を出すことをせず、いっさい関係を持たないようにすれば、中国は共産党独裁がもたず、自分で自分を治められずに分裂して別の国になってゆくだろう(p28)

中国を支えているのは日本だと日下氏は断言します。支えるのをやめれば中国は崩壊する、つきあわないほうがいいというのです。 私も、ほんとにその通りだと思います。が、実際には、

●2008年以降、アジア開発銀行経由の対中資金援助が増えており、2008年から2011年までの間に五千億円の対中資金援助が行われた。さらには、無償資金協力と技術援助についてはいまだに継続されている(p125)

のだそうです。 このあたりは、口をすっぱくして、おかしいと指摘し続ける必要がありそうですね。

 

ポイント3 新「文化産業論」

●労働時間が少なくなり、働かない若者が増えていくのが未来の日本人の姿であるのなら、海外に騙し取られるカネがなくなり、結構なことであるとも言える(p134) ●日本人は盛大に遊ばねばならない。デフレの本当の原因は遊び不足である(p138) ●三流大学に行ったり中退したりしてあまり学校の勉強などせずに、アニメやマンガ文化を満喫している若者のほうが雑学があり、想定力は鍛えられていて可能性がある(p148)

また、本書の帯には、日下公人の新「文化産業論」というコピーがありましたが、そうした趣きのある一書になっています。「文化産業論」といえば、日下氏が世に出た一冊だったと記憶しています。有閑階級の理論をといたヴェブレンに詳しい日下氏ならではの、独特な視点でのユニークな分析が、面白かったです。

 

その他注目ポイント

以下は、線を引いた箇所です(一部のみ)

●私は、いま世界は静かな状態だと思える(p19) ●流れが変わるとき、世界の動きはしばらく淀む。動きがなくて淀んでいるので、静かなのである(p26) ●中国に対して、日本は付き合わないのが一番いい。日本が資金や技術を出すことをせず、いっさい関係を持たないようにすれば、中国は共産党独裁がもたず、自分で自分を治められずに分裂して別の国になってゆくだろう(p28) ●そうした中国の行為に対して日本人は、あるいは経団連は何の抗議もしてきていないし、新聞記者もほとんど書かない。外務省の人は「民間のことは民間で」と言って逃げる。こんな変な国はない(p32) ●結局のところ、日本企業の工場は全部中国に没収されてしまうことになるだろう(p33) ●中国の経済発展は、日本が中国とのつき合いを止めたら止まる。資金も技術も中国に渡さないことにすれば、共産党の支配が壊れるのは早まる(p34) ●日本人は善人だから一回は騙せるが、しかし何回も騙されない。パリのブランド店の人も同じである(p43) ●中国人の観光客が来て札ビラを切って気前よく買っていくというのは最初の話で、あとは嘘をついたりクレームをつけたりで値切り倒していく(p44) ●もう一歩突っ込んでみれば「すでに分かれている」という見方もできる。それを北京の共産党政府が一所懸命に、「中国は一つである」という演技をしている(p46) ●日本人はアメリカとの関係を常に気にしているが、アメリカは日本のことなどそれほど気にしていない(p53) ●アメリカの第三十二代(1933~1945)大統領だったフランクリン・ルーズベルトはアヘンで大儲けした一族(母親のサラ・デラノは阿片戦争の頃から中国とアヘン貿易などで財をなしたデラノ一族)である。日本は1939年、陸軍の主導で設立された半官半民の商社「昭和通商」によって中国内にアヘンを持ち込み、その資金を戦略物資の調達に充てるなどの活動を行った。それによって中国でのアヘン市場を奪われたのが、欧米のアヘン業者である。ルーズベルトの一族もそのなかにいた。だから、ルーズベルトの日本に対する怒りはそれに端を発しているということもできる(p54) ●儲けさせてくれないのであればアメリカは日本に無関心になる(p55-56) ●アメリカの覇権は当分続くのか。その答えは、世界中の他の国がみんな意気地がなければ続くということである(p58) ●このような多様な人種の均衡のうえでオバマ大統領はかじ取りをしているから、優柔不断になるのも、抽象的なスローガンを目標に掲げるのも無理はない(p59) ●いま、世界の動きは止まり、静かな状態である。そういう状況のなかで、2015年あたりから日本の時代が始まる(p60) ●実際の中身は、アメリカも中国もずいぶん日本化している(p60) ●世界経済はどうか。いま、金融戦争は小休止状態になる(p65) ●私の若い時代と比べれば日本中が豊かになっている。平均すれば月収の三か月どころか三年分程度の貯金があることになる。それならそれほど心配することはないと思うが、それにもかかわらず、生活の心配が大きいのは本人の人生観が甘えているのではないか。いくら預貯金があっても年率何十パーセントというインフレになれば、そんなものはすぐに吹き飛んでしまう。問題は、働いて自分に必要なお金を日々稼ぐことであろう(p71) ●文部科学省は東と西で二つあってもいい。(中略)二つの文科省の方針は違っていて国民は好きなほうに引越せばいいのである(p73) ●母親が三歳まで子どもをきちんと育てたら一千万円を支給するといった思い切った政策を打ち出せば、出生率は大いに増加するのではないか(p77) ●私は自由経済論者だから、本当に自由にすればそんな問題は解決すると思っている。経済産業省が割り込んできて商売に口を出し、高い新エネルギーを買い、そのうえ、自分の利益だけを先取りするからおかしいことだらけである。だから経済産業省は余計だし、電力会社も余計である。自由化して、自己責任でやる方向にすればいいのである(p79) ●東日本大震災時の「計画停電」というのはいったい何だったのか。供給義務に違反しているのだから犯罪ではなかったかと思う(p80) ●自由主義経済は基本的には最終的に自己責任なのだから、エネルギーのことでも自由化して自分自分でいろいろなことをすればいいのである(p80) ●日本の農業政策は今後大幅に変わってくる。この先は紆余曲折があっても、農協解体に進むだろう(p85) ●日本の安全保障の問題は、日本が「明日にでも原子力潜水艦をつくる」「核武装する」「自主防衛する」という姿勢を世界に見せるだけで解決する(p88)

詳しくは→いよいよ、日本の時代がやって来た!

【おすすめ本を探して】5050冊目「ブログ飯」の書評、読書感想

こんにちは、西門です。遅ればせですが、気になっていて読めていなかった「ブログ飯」についてです。

 

本書の構成は以下の通りです。

はじめに
本書を読む際の注意点
第一章 私が「ブログ飯」になるまで
第二章 ただのブログを「飯が食えるブログ」に変える
第三章 継続して成果を出すブログの違い
第四章 個人でお金を稼ぐということ
第五章 SNSことはじめ
第六章 突き抜ける技術
特別コラム:鬼嫁は見た!

ポイント ブログで飯を食うことはできる

・「飯が食えるブログ」って、どういうブログを言うのでしょうか? 答えは簡単です。「たくさんのファンを、継続的に得ることができるブログ」、これに尽きます。(p9)

著者は奥様とお子さん、ペットをブログで養っているということ。ほかにも多くの実例がありますし、ブログではなくYouTubeで食べている実例もあります。不可能だと思い、はなから諦める必然性はまったくないのですね。

ポイント 好きなことを継続して書く。そして磨きあげる

・時間を忘れて没頭できるぐらい”好きなもの”をテーマにすることで、あなたのブログは唯一無二の情報がたくさん詰まった、「お客を呼べる」ブログになります(p54)

 継続的に集客し続けるためには価値ある情報をブログなどで、発信し続ける必要があります。しかし、結局食べていくためには、ふつうの日記的な「ブログ」ではなく、価値ある情報を盛り込みながらの(アフィリエイト)ブログが必要だということが、著者の成功事例から分かります。ただ、そうしたアフィリエイトサイトであっても、やはり好きなテーマでなければ、差がつけるサイトにはならない、あるいは買いたいと思うブログにはならないということかと思います。

ポイント 成功パターンをみつける

・私の最初の成功パターンは「新しい商品/サービスがリリースされたら誰よりも速く、誰よりも詳しく、誰よりも多くの情報を提供する」という単純な原理でした(p49)

結局、自身の関心ある領域を極め情報発信をし続けて集客をしながら、やはり自身で購入し心からよかったと思う商品を薦める、そうしたパターンなのだと思います。私は、とてもシンプルで理にかなっていると思います。

線を引いた箇所です(一部のみ)

・「飯が食えるブログ」って、どういうブログを言うのでしょうか? 答えは簡単です。「たくさんのファンを、継続的に得ることができるブログ」、これに尽きます。(p9)
・ブログを運営し続けることにおいて重要なことは、表面的なテクニックではない(p9)
・ブログからの収益は、月額2~3万円程度。最終的に、私が出した決断は、「独立する」でした。(p27)
・ちなみに今は単語帳を常時持ち歩いていて、電車内で気になったフレーズや思いついた事、人の話の内容で面白かったものをメモしています(p31)
・50記事以上のブログは5個程度、10記事以下の小さなサイト群は50~60個できているものの、貯金はどんどん減っていくという状況でした。月5万~10万程度の額をウロウロしていました(p38)
・(Xperia)すぐに1日のPVが数千PVになるという異常値を叩きだしました。(p41)
・私の最初の成功パターンは「新しい商品/サービスがリリースされたら誰よりも速く、誰よりも詳しく、誰よりも多くの情報を提供する」という単純な原理でした(p49)
・好きで書いている文章ほど、魅力的に見えるものです(p54)
・時間を忘れて没頭できるぐらい”好きなもの”をテーマにすることで、あなたのブログは唯一無二の情報がたくさん詰まった、「お客を呼べる」ブログになります(p54)
・書いていた面白くもなんともないブログを、誰が興味を持って読むのでしょうか。誰にも興味を持たれないブログを書いていたって、空しいだけですよね(p55)
・「好き」を仕事にする強みを、今、しみじみと実感しています。そして、それはブログさえあれば、実現可能なのです(p55)
・一つのテーマにつき最低30記事は書けるようなテーマを選んでください(p86)
・特に大事なのが文末。ブログテーマに沿った内容でまとめるように注意する(p111)
・手を抜いて書いた文章は必ず読者に伝わります(p120)
・アクセスが集まらないブログには何かしらの理由が必ずあります。(p125)

 

まとめ

その通りだなと思わせられること、しきりでした。著者ご自身の成功から教訓を抽出して、一冊にぎっしりと盛り込んでくれている印象です。
線をひくところもとても多い本でした。
「好きなこと」で生きていきたいと思っている方にはぜひお薦めの一冊です。読んで良かったです。

 

著者おススメ度(10点満点)10点

好きなこと」で生きていきたいと思っている方にはぜひお薦めの一冊です。読んで良かったです。</p>
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<p>著者おススメ度(10点満点)<strong>10点</strong></p>

【おすすめ本を探して】5046冊目「「戦う自分」をつくる13の成功戦略」の書評、読書感想

book5

こんにちは、nishikadoです。
ジョン・C・マクスウェルの自己啓発書です。

 

 

本書の構成は以下の通りです。

「信念」を持つ―「決意があるかどうか」これが決め手
「情熱」を燃やす―“ほどほどの人”が得意分野で大化けする!
「主体性」を持つ―「自分」が動けば、「世界」も動き始める!
「集中力」をつける―ただ一つのことに、集中してみる!
「準備」して待つ―「運」を引き込む人は、いつでも用意周到
「練習」を怠らない―「自己最高記録」は「プラスα」から生まれる!
「忍耐力」をつける―「最後までやり抜く人」の心の持ち方
「勇気」を持って臨む―「小さなこと」から大きな変化を起こす
「知的好奇心」を持ち続ける―「学び」に貪欲な人ほど加速成長できる!
「品格」を磨く―「誰も見ていない時」、あなたは何をやっているか?
「責任感」を持つ―「誰かが代わりにやってくれる」と思うな!
「つき合う人」を厳選する―「他人から受ける影響」をあなどるな!
「チームワークの力」を活かす―「自分の価値」×「人の価値」=最高のチーム力

 

ポイント1 偉人の言葉の数々

13の徳目的なもので構成されており、その中身は、大きな業績を残した「偉人たちの言葉」とその「解説」です。偉人の言葉の引用は適切で、説得力があります。抜き書きしておいて、活用すべき言葉だと感じました。

 

ポイント2 テーマは「才能をもっと伸ばすために必要なこと」

本書の原題は”Talent is never enough"です。「才能」に十分ということはない、あるいはもしかしたら、才能だけでは不十分、そんなニュアンスもあるかもしれません。持って生まれた「才能」を活かし、もっと才能を伸ばすために必要な徳目が紹介されており、健全な内容だと思います。

 

 

線を引いたのは以下の部分です(一部のみ)。

・「夢を実現させる方法を知りたければ、この本を読みなさい」と言えば、すんでしまう(渡邉美樹氏によるまえがき p3)
・ウィリアム・ジェームズは、「人間が失敗する唯一の理由は、自分に自信が持てないことだ」と語っている(p31)
・自分を最高レベルに高めるためにいは、自分の「使命」に自信を持つこと。そうすれば、勇気が湧いてくる(p33)
・まずは、「自分の好きなこと」に専念すること。もしくは、自分のやっていることを好きになること(p43)
ゲーテも「考えを実行に移すことが、この世で一番むずかしい」と言っている(p68)
・百冊以上のウエスタン小説を書き、二億三千万部以上を売った作家ルイス・ラムーアは、「何がなんでも書き始めるのだ。蛇口をひねらなければ、水は流れ始めない」というアドバイスを残している(p72-73)
・凡人だらけの世の中で、自分の目標をはっきりと意識し、その実現に全力を注いでいる人は際立って見えるものだ(p82)
・長年私が実行してきたことの一つに、「ご褒美は、やるべきことをやってからもらう」というのがある(p92)
・毎日の読書で印象に残った言葉や逸話、考えのヒントを書きとめ、ファイルする。毎月一回、ファイルした資料を読み返す。書きとめたメモや資料から得た教訓をまとめて、毎年、本を書く(p101)
・「今いい加減にプレーしている奴は、今もどこかに必ず全力で努力している同レベルの選手がいることを覚えておけ。将来そいつと対戦する日が来たら、絶対お前の負けだそ」(p110)
・われわれもディケンズを見習うべきだ。一番得意なことがわかったら、すぐ練習を始めよう。(p116-117)
・卓越性を追求しないでいると、月並みなもので満足するようになる。あとは平凡な人生があなたを待っている(p122)
・毎日何かを変え続けると、人生そのものに変化が起こる。(p157)
ゲーテは、「素晴らしい絵画や音楽、本に触れずに、漫然と日を過ごしてはいけない」と言った(p164)
・ベンジャミン・ディズレーリは、「人にしてやれる最大の善行は、自分の富を分けてやることではなく、相手の隠れた才能を引き出してやることだ」と言った(p232)
・もしチームの中での自分の落ち着き先が見つからなくても、チームワークをあきらめてはいけない。自分とよく似た姿勢と情熱を持った人を探し出して、その人と行動を共にすればいい(p247)

 

タイトルに「戦う自分」とあり一定のイメージを与える面がありますが、単にモチベーションアップや、気合を入れるために読むべき本ではなく、良質な自己啓発書に位置づけられる本だと思います。
言葉や逸話が、いろいろと示唆を与えてくれる良書です。自分の才能を開花させ、活かしたいと思っている、いろいろな方にお勧めできる本だと思います。

【おすすめ本を探して】5045冊目「起業家」の読書感想

こんにちは、nishikadoです。
サイバーエージェント藤田晋社長による、(自伝的)社長エッセイです。

本書の構成は以下の通りです。

第1章 暗闇の中で
第2章 土台作り
第3章 追い風
第4章 手痛い遅れ
第5章 ライブドア事件
第6章 逆風
第7章 進退をかけて
第8章 熱狂の後

 

ポイント1 社員を大切にする企業文化について

・「社員を大切にする」という会社側からのメッセージに応えるように、ぱったりと社員が辞めなくなりました(p70)

IT業界らしくない、終身雇用的、古き日本の雇用体制を敷いた点、特徴的です。その結果、社員が会社を大事にするようになったという経験は、教訓に富んでいると思います。

 

ポイント2 ライブドア事件

・初めて同世代の経営者に嫉妬心を抱いた(p128)

嫉妬した相手は、堀江貴文氏です。
それほど分量はないのですが、ライブドアが席巻し、そして没落する姿が、よく知る立場から描かれており、貴重だといえます。

 

ポイント3 イノベーションの難しさ

・経営者が何らかの違和感を覚えたら、それは介入のGOサインだと考えて間違いないと思います(p143)

アメーバ(アメブロ)成功までの道筋も本書の大事なテーマです。
事業部の目標がPVのみという大胆な設定をしたこと、幹部を更迭し、自らが責任者となり、会社のカルチャーを変えるほどの苦しみをしながら、アメブロの知名度を上げ、黒字化させるまでの様子が書かれています。
web事業を考えるにあたっても、参考になりました。

 

以下は、線を引いた部分です。

・実績がないのに自分でやらず人任せ。人任せだから自信を持って周囲を説得することもできない。「何かがおかしい」と思いながら手を打てない。何もかもが中途半端でした。(p52)
・ネット業界の歴史を振り返れば、目まぐるしく変わる環境の変化の中で、新しいことをやらなくなってしまった会社は全て消え去っています(p58-59)
・日本特有の事情なのかも知れませんが、新卒採用時に優秀な人材を獲得しておかないと、中途採用だけで人材を揃えるのは困難です。優秀な人材は新卒で大企業に入ってしまうと、簡単には辞めず中途市場に出てこないからです。(p64)
・(変化が激しい時だからこそ、ブレない軸が必要なんだ)そう思っていても定まらなかった軸がようやく定まりました(p68)
・「社員を大切にする」という会社側からのメッセージに応えるように、ぱったりと社員が辞めなくなりました(p70)
・会社が「社員を大事にするよ」と呼びかければ、社員も「会社を大事にしよう」と応える。考えてみればとても単純なことでした(p77)
・ルールに則ってさえいれば、いくらでも新規事業の立ち上げ”数”を増やすことが可能になったのです。この制度はシンプルで、「1年半で黒字化しないと撤退」ということと「赤字の下限を決めている」という2本の柱から成り立っています(p84)
・私が営業を担当し、堀江さんが技術を担当するという間柄でした(p101)
・「知名度」。それがインターネットメディアにとってどれだけ重要かを私と堀江さんは骨身に沁みて知っていました(p104)
・初めて同世代の経営者に嫉妬心を抱いた(p128)
・経営者が何らかの違和感を覚えたら、それは介入のGOサインだと考えて間違いないと思います(p143)
・その頃に日経新聞本紙のベンチャー欄が廃止されました。(中略)ベンチャー欄廃止により、そのような日本特有のベンチャー企業が育っていく風土もなくなってしまいました(p174)
・立ち上げ途中の事業を無理やり短期的に黒字化させても、萎縮させるだけです。30億ページビューで収益化させ始めれば、そのメディアは30億ページビューのサイズのメディアになります。5億ページビューで収益化させ始めれば5億ページビューのメディアに、100億ページビューで収益化させ始めれば100億ページビューのメディアになるのです。収益化に本気で取り組まなくとも、自然と損益分岐点を越えていくような事業でなければ、本当に収益力のある事業に育つことは望めません(p193)
・ネット特有の事情として、かなりの巨大なメディアに育たない限りは、安定した収益を稼ぐ事業にはなりません(p194)
・世の中にないものは言葉で言っても伝わらないものです。結果で見せるしかない、そんなつもりでした(p199)
・社内の目標から売上を外し、ページビュー数1本に絞り込みました。(p203)
・アメーバの幹部を総入れ替えすることに決めたのです。(中略)創業以来こだわっていた、「任せたら口出しせず、支援に徹する」、そんな自分の経営スタイルからの決別を意味していました(p220)
・(30億ページビューを超えたら収益は伸びるはず)そう信じていたものの、何で売り上がるかなどの見通しは全く立てられてはいなかったのです。そもそもアメーバは収益計画を立てようとすらしていいませんでした(p257)
・2009年9月、アメーバ事業部はついに損益分岐点を超えて黒字化しました。かつてのように、無理に黒字化させたわけではなく、実に自然と損益分岐点を越えていきました(p277)
・本当の意味で黒字化するまで、立ち上げから6年もかかってしまいました。その間の累積の赤字額は60億円に上ります(p280)
・広告代理店からメディア企業へと企業文化を変えるのは想像を絶する難しさでした。営業中心の会社が、技術に強い会社に変貌と遂げることも用意ではありませんでした。それでも変わることができた理由は、サイバーエージェントの企業文化の土台をしっかり作ったことにあると思います。長く働く人を奨励し、事業と社員を育成してきました(p285)
・私は今、かつての自分以上に『熱狂』しています。今でも変わらず、私は起業家なのです(p290)

個人的には、前作の「渋谷ではたらく社員の告白」のほうが、ドラマ性も強く、印象に残った気は、正直します。ただ、それは、様々な逆境もあるとはいえ、「上場」を果たした後という、会社としてのある程度の安定感が背景にあるためかなと思います。
しかし前作同様、正直に自らの弱点や足りないところを記述される点は、同じく経営に携わる方や、経営をこころざす方には、とても参考になると思います。また企業カルチャーを変える難しさや、自分の経営スタイルを変えることの必要性など、とても示唆に富んでいます。
経営者の方は必読、それ以外の方にもおすすめできる本です。

 

くわしくは、起業家

【おすすめ本を探して】5044冊目「毎日90分でメール・ネット・SNSをすべて終わらせる99のシンプルな方法」の読書感想

こんにちは、nishikadoです。「ネットを使いこなすための教科書」と著者が語る、ネットに時間を取られるなということがテーマの本です。

本書の構成は以下の通りです。

第1部 デジタルツールの最適な使い方
第1章 なぜ私はスマホを使わないのか?―「パソコン&モバイル」の正しい使い方をまず知ろう!
第2章 たったこれだけで作業効率が10倍高まる「パソコンの環境設定」超入門

第2部 デジタルテクニックを極める
第3章 1日30分で見事に終わる「メール&メッセージ」のすごい使い方
第4章 1日30分で必要な情報をチェックする「ネットの見方」はこれだけでOK!
第5章 1日30分で本物の情報と交流を得る「SNS」の正しい使い方

第3部 デジタルとアナログを上手につなげる
第6章 デジタル時代でも「あえてアナログ」にすべきもの
第7章 ネットとリアル社会をつなげるイベント参加術&交流術

 

ポイント スマホは本当に必要か?

誘惑に弱い私は、自分のかけがえのない「集中力」を守るために、スマホをもたないのです(p72)

著者は、あえてスマホを持たないといいます(ノートパソコンとガラケーというスタイル)。
スマホに使っている時間は、現代人にとっては膨大なものにのぼるのも確かです。
意見便利に見えるものを「捨てる」、そうした発想が大事なのかもしれないですね。

 

ポイント2 情報収集の時間も短縮する(情報が集まる仕組みをつくる)

情報は自分から集めるのではなく、情報が勝手に集まる環境をつくるべきです(p147)

著者は、ネットで漫然と情報を集める時間の中にも無駄があると考えます。
そしてグノシーやグーグルアラートを進めています。情報強者(情強)となり、できる工夫は取り入れる、そうしたスタンスです。

 

ポイント3 アナログとデジタル、オンラインとオフラインの使い分け

アナログに固執するのもナンセンスですが、何でもかんでもデジタル化するのは非効率です。デジタルとアナログの最適なバランスが必ずあるはずです(p178)

すべてをデジタルにということも、デジタルは一切使わないというのも、効率面からみると正しくなく、その折衷にベストな解があるという発想です。すべてが一つのデバイスにというのは、持ち運び上も便利ですが、現状のツール、機能では、実際には非現実的です。
目的合理的に、ツールを使い分けるということですね。

 

線を引いたのは以下の部分です。

スマホが私達の仕事を効率化しているかというと、かなり疑問です。(p3)
・メール30分、SNS30分、情報収集30分。すべてを90分以内にこなすのが、私にとって最も効率的なネットの使い方です。(p6)
・誘惑に弱い私は、自分のかけがえのない「集中力」を守るために、スマホをもたないのです。(中略)仕事に関係のないゲームやアプリはパソコンにダウンロードしないことです。(p72)
・はじめて送るメール、久しぶりに送るメールは「丁寧さ」が重要、2回め以降は「スピード」が重要になります。(p96)
・情報収集で漫然と「何か面白い情報」を求めるのは、何も求めないのと同じことです(p124)
・情報は自分から集めるのではなく、情報が勝手に集まる環境をつくるべきです(p147)
・自分の関心領域についての新着情報を毎日、自動的に送ってくれるのが「Googleアラート」です(p152)
・本の執筆をする場合は、「オフライン」にして集中力を高めて執筆しています(p155)
・「これを書いて大丈夫かな?」と思ったら、「1000人を前に、その話を堂々とできるか?」と自問自答してみましょう(p159)
・実名はもちろん、匿名でも悪口は書くべきではありません。匿名で書き込んでも、ネット上にはさまざまな足跡が残り、容易に個人を特定できるからです(p175)
・アナログに固執するのもナンセンスですが、何でもかんでもデジタル化するのは非効率です。デジタルとアナログの最適なバランスが必ずあるはずです(p178)
・グーグルのあらゆる機能に習熟しているダン・ラッセルでさえ、ToDoリストは「紙」に書いているのです(p198)
・本書は日本ではじめての「ネットを使いこなすための教科書」になったと自負しています(p225)
SNSスマホも「ダラダラと使う」のではなく「メリハリをつけて使う」。それによって生産性を向上させ、時間を有効活用し、日本人のワークスタイルに革命を起こしたい――(p227)

 

私も本書をきっかけに、(直接の主題とは違いますが)、時間を取られているものを見極め、「捨てる」ように心がけています。
新しいツールが出ると、それを活用する方向で、マスコミも発信をするのですが、冷静に見極めることが大切ですね。
ネットを使いこなすことにつながる、冷静さを取り戻すための一書ですね。おすすめです。

【おすすめ本を探して】5040冊目「人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。」の読書感想

こんにちは、nishikadoです。千田琢哉さんの主として20代の人向けに書かれた読書本です。

構成は以下の通りです。

プロローグ 僕の出身校は、仙台の丸善と金港堂だ。
第1章 本さえ読めば、どんな時代になっても知恵で生き抜いていける
第2章 本が背中を押してくれる「行動力」
第3章 本が教えてくれる本当の「コミュニケーション力」
第4章 本が伸ばしてくれる効率的な「勉強力」
第5章 本が磨いてくれる結果を出す「仕事力」
第6章 本が導いてくれるお金の不安から自由になれる「経済力」
第7章 本が加速させてくれる「成長力」
第8章 人生を変える本の「買い方・読み方」
エピローグ つらいときに群れるな、本を読め

ポイント 本ほど良いものはない

様々な角度から、本を読むことをすすめる「言葉」をなげかけてくれます。
見せかけで読むことは戒めていますが、本への絶対的肯定感にあふれています。
言い切りが随所にあり、そこまで言い切って大丈夫かと感じることもありましたが、本が大好きな一人として、「そうだろう、そうあってほしい」と思うとともに、琴線に触れたのは間違いない事実でした。
言葉のはしばしから、膨大な読書を重ねてこられたことが伝わってきます。
数多くの読書を重ねた先輩の言葉に、素直に「納得」しようという姿勢で臨むことが大事ですね。

以下は線を引いたところの一部です。

・僕は大学に入学するまで、漫画以外の本を1冊も読んだことがありませんでした。(p1)

・大学4年間で1000万円部1万冊以上の本を買うことになります。そしてそれらすべてを読みました。(p1)

・現代では机上の空論だけの本なんてほとんどありません。(p20)

・オススメの本というのは、人によってまったく別(p32)

・断言します。この世の中で最も裏切らない投資は本代にお金を費やすことです。(p128)

・人を感動させることができる量は、年収にそのまま比例します。(p142)

・本は「まえがき(プロローグ)」が最も面白い(p168)

読書好きな方が読んでも、ますます読書がしたくなる本です。自分を向上させたいすべての方にオススメできる一冊だと思います。

詳しくは、人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。

【おすすめ本を探して】図解 ライフハッカー式 整理のアイディア(小山龍介)

こんにちは、nishikadoです。図解のライフハック本です。

 

構成は以下の通りです。

Chapter 1 書類を整理するコツ
Chapter 2 環境を整えるコツ
Chapter 3 情報を整理するコツ
Chapter 4 生活を快適にするコツ
Chapter 5 思考を高めるコツ
Chapter 6 人脈を整理するコツ

 

ポイント やり方を変えると整理ができる

ライフハックとは、「こんがらがった生活(ライフ)を簡単に解決(ハック)する」という意味です。(p2)

本書は「整理」がテーマになっています。もともとライフハックという言葉自体に「整理」の意味が含まれているとも感じますので、親和性が高いテーマ設定だと思います。
ちょっとした工夫、昔の言葉でいえば「仕事術」が数多く紹介されています。
こんがらがったものを整理する過程は、一つ一つ取り除いていくことですから、それぞれは平凡でもそうした「工夫」の積み重ねが大事なんですね。

 

以下は線を引いた部分です。

・丁寧に整理をしようとする整理好きだからこそ、情報の流れの速い現代においては、整理できなくなっているのです。(p4)

・そのうち本を置く場所がなくなっていきます。(中略)本を買う意欲が減退していきます。(p38)

・生活をルーチン化させていくことからスタートし、その後、香辛料としてのサプライズを加えていく(p63)

・新しい発想をするときは、同時並行でのアウトプットは避けるべきです(p68)

・類語検索にはオンライン辞書の「Weblio」がおすすめ(p79)

整理そのものについては、「断・捨・離」やいわゆる「ときめき」など、もう少し体系だったものがありますし、オフィスや仕事机の整理についても類書が多数あります。

仕事で気軽に取り入れられる整理のアイディアを求めている方には、パラパラと読める本書は悪くないのではないかと思います。